次の記事を見たところレアメタルの獲得競争が激しくなっています。
Apple、コバルトを採掘会社から直接購入か | TechCrunch Japan
資源獲得について考えてみました。
代表格の石油
資源競争といえば、代表は石油ですね。
現在の社会は石油なしでは立ち行かないくら位大切な資源となります。
日本が太平洋戦争に突入したのも米国から石油を輸入禁止されたからですし、2度のオイルショックは世界に大きな影響を及ぼしましたしね。
ただ現在は状況が少し変わってきました。一つはシェールオイル。米国がシェールオイルで石油を自給できることになり、中東諸国が価格維持のために減産しても米国は自国でシェールオイルの生産量を増加できるようになったため、原油価格は60ドルを超えないところに落ち着いています。
次なる石油、コバルト
電子機器には必要不可欠であるリチウムイオン2次電池。
特に最近は電気自動車が増えており、その需要は爆発的に増えています。
ちなみに、日産リーフのバッテリーは小さいほうで24kWhです。
モバイルバッテリーで大容量になる20000mAh(iPhoneを10回くらい充電可能)は、電圧が3.7Vのため、3.7(V) x 20000(mAh) = 74Wh
つまり24 × 1000 ÷ 74 = 324倍も必要となり、これまでとは比べようもないくらい受注が増えることになりますね。
ちなみに、日本の一般的な家庭の一か月の消費電力は300kWhなので、電気自動車のバッテリーは2.5日分となります。電気自動車がとてつもなく大容量の電力が必要ということがわかりますね。
そのリチウムイオン2次電池を作るのに必要なのがレアメタルであるコバルト。
先の記事にあるように「次なる石油」と言うのはあながち間違ったものではないです。
世界の生産量を見ると以下の通り。約半分がコンゴで生産しています。
国 | 生産量t(2013年) | 割合(%) |
---|---|---|
コンゴ | 57,000 | 48% |
カナダ | 8,000 | 7% |
中国 | 7,100 | 6% |
ロシア | 6,700 | 6% |
豪州 | 6,500 | 5% |
次に示したのはコバルトの価格の推移を表したものです。これを見ると、この1年ほどで大きく価格が上昇しているのがわかりますね。
出典:LME Cobalt
次の資源争奪戦
今後電気自動車の開発も激化していくので、今まで以上に価格が上昇していくことは必須です。
Appleが採掘会社と複数年契約を結んだように、他のメーカーも独占契約を結ぶようになっていくでしょうね。
石油メジャーと違うのは、最終製品であるAppleが直接契約を行っていること。サプライチェーンを管理するには直接契約するのが容易だというのと契約に至る決断力、並びにそれを可能にする資金力を有しているというところからAppleの凄みを感じられますね。
日本の基幹産業である自動車メーカーにも同じくらいの決断力を期待したいですね。