漫画村騒動を見て海賊サイトを回顧する

数日前に漫画村のサイトへアクセス制限をかけることを推奨することを政府が発表しました。

www.huffingtonpost.jp

政府の発表

政府の発表は「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」で緊急対策を決めたということ。アクセス制限の対象は、漫画の海賊版サイト大手の「漫画村」と、アニメ・テレビ版の海賊版サイト「AniTube! 」「MioMio」の3つ。

政府資料では、日本のインターネット利用者のうち月平均で4人に1人(24%)が著作権侵害サイトにアクセスしているということ。
はじめにニュースを見たときには、周りで利用してる人聞かないけどほんとにそうなの?という印象でした。

通信の自由

ただこれって憲法違反に当たる可能性がかなり大きいです。
特定のサイトへのアクセス制限は、電気通信事業法や日本国憲法が定める「通信の秘密」を侵害してますね。そのため、法曹界やネット関連団体から反対する声が続出してます。

政府は「緊急避難」ということを述べてますが、憲法が保証する「通信の秘密」を侵害するだけでなく、アクセス制限をするには通信内容を閲覧しないといけないので「個人のプライバシー侵害」にもあたり、政府による検閲にもなる非常にデリケートな問題です。

著作権に強い福井弁護士は、「緊急避難」である。という立場ですが、一度先例を作るとどうにでも利用できてしまうのでまずは法律を制定するのが先だとは思っています。

ISPで制限するのは筋よし?

さらにアクセス制限をISPで行うのは、IPやドメインを変えてしまうと容易に対策が可能です。
現在は無料のDNSサービスである1.1.1.1などが提供されており、それを利用すれば正直回避できるので、対策としては筋が良いものではないですね。

internet.watch.impress.co.jp

音楽サイトの昔を思い出す

とまあここまで考えてきて昔にも海賊版が問題になったのを思い出しました。それは音楽。
昔はナップスターやWinnyなどが流行りましたが、今現在どうなっているかというとほぼなくなってますよね。
それは、音楽配信サイトが簡単に楽曲を購入でき、かつ、アーティストに適切に分配できる仕組みを作ったからです。
海賊版サイトを利用するのは、無料という理由以外に自分でMP3を作成するなどの手間から海賊版サイトを使っていた人もいます。
ソフトウェアの利便性や商品の充実と適切な価格設定することで、大半の人はお金を払うということが音楽の例からわかります。
音楽サイトも昔はDRMを設定してましたがそれをやめてしまっても変わりませんでした。無駄なコストは掛けないほうが長期的には得策です。

動画についても、現在NetflixやAmazon(プライムビデオ)などのサービスが充実してきており、海賊版サイトが問題になるのはあまり聞かないです(テレビ番組は別ですけど)

漫画の市場規模

以下の記事で紙と電子本をあわせた規模は4,454億円ということでした。

全国出版協会|2016年の出版市場(紙+電子)を発表しました

紙のコミックスは前年比二桁のマイナスとなっており、販売減少に顕著といえますが、電子書籍が前年比二桁のプラスとなっており、トータルでは前年比2.8%のマイナスとなっており福井弁護士がいう「壊滅的な影響」かどうかは評価が別れるところです。

大切なのは利益の分配

違法サイトを取り締まることに注力するのではなく、利便性の高い配信技術を提供することで、ユーザは適切な対価を支払うのは音楽配信で先例があります。
法律違反のリスクを取ってまで規制をかけるのではなくいつか来た道を分析してもらいたいと思います。

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