コロナウイルスで引きこもり生活が続いています。
自粛活動も長期化することが予想されますが、これから世の中はどんなふうに進んでいくのか?不安になってきます。
人間は経験していないことを想像するのはかなり困難です。
そんな時にノンフィクションの作品は役に立ちますね。
今回紹介する漫画でウィルスが蔓延した後に人や社会がどうなっていくか?を想像してみるのはどうでしょうか。
目次
カミュの「ペスト」をオマージュ
まずこの漫画、ある小説をオマージしています。
それはカミュの「ペスト」です。
作者自身カミュのペストをオマージュしていることは本人のブログで紹介しております。
主人公の名前(鈴鳴涼子)は、ペストの主人公ベルナール・リウーの名前から拝借したということです。(ベル鳴るとは・・・)
未知のウィルスが蔓延した日本
ネタバレになるので詳細は記載しませんが、日本のある地域で伝染病が蔓延します。
(現実の日本では難しいですが)都市封鎖され、閉鎖した社会の中で生活する人々の日常が描写されるところは「ペスト」と一緒です。
本作品を読むことで海外での都市封鎖がどんなものか想像できるのではないでしょうか。
本作品はSF漫画にあるようなトンデモ設定があるわけではありません。
伝染病が身近にある社会の中、登場人物が日常を生き抜いていく姿を丁寧に描写しております。ドタバタがないので淡々と進んでいく印象を持つかもしれません。
ただ淡々と進んでいくが故に、伝染病がすぐそこにあるというリアリティを持つことができます。
本作品に出てくるウィルスは、コロナに比べて致死性が高いウィルスであるため、死が隣り合わせにある生活を感じることになります。
(これを読むまでは正直今回の騒動をなめてました。見えないものの恐怖をすごく感じることになりました)
時代は現代。これから日本がどうなっていくかを想像できる
「ペスト」も時代は近代ですが、本作品は現代。
登場人物は携帯電話やネットを日常的に利用します。
ネットやSNSの風評被害なども描写されており、日本でもどのようなことが起こっていくかを想像できるのではないでしょうか。
本作品で、わたしが心に残ったのは2つのシーンです。
詳細はネタバレになるので避けますが、現代でも未知なる感染病に対して人が抱える悩みは変わらないものだと感じます。
- 離れ離れになっても愛していると言える若者
- 愛する妻をなくした夫の無力感
医療関係者の頑張りや無力感をを見ることができる
本作品で、ウィルスに対して医療関係者の頑張りと無力感を体験できました。
テレビでも重ねて報道されていますが、患者が指数関数的に増える状況での医療崩壊、必死に処置を施しても目の前の患者が次々となくなっていくの現場の医師たちの疲弊・無力感を痛いくらいに感じることができます。
実際の現場で頑張ってもらっている医師には感謝しかないです。
さいごに
本作品は、全3巻と短いのですぐに読み終えることもできます。
ラストもハッピーエンドではないですが、それが作品にリアリティをもたらしていると思います。
最後はあーっておもいました。
さいごにわたしのお気に入りのシーンを紹介します。
リウーを待ちながら(2)(イブニングコミックス)
「のんびりしていたらだめだよ先生 いつ何があるかわからないんだから」
わたしも大切な人へ想いを伝えることを先延ばしにしないようにしたいです。